スイセンは水辺にいる仙人の意味の水仙という中国語を音読みにして名付けられたと言う。原産地は地中海沿岸地域で、日本へはニホンスイセンと呼ばれる種が中国を経由して伝来、関東以西の海岸近くの暖かい湿り気のある場所で野生化したものである。東京付近では、千葉県鋸南町、静岡県下田市爪木崎などが群生地として知られている。
スイセンは全体に強い毒性があり、山菜摘みなどでニラと間違えないように要注意である。スイセンは白または黄色の花を咲かせるが、赤・ピンク・八重咲など世界的に品種改良が進んでいる。角川庭園では、正門近くのバショウの下にニホンスイセン、庭園中央部のサルスベリの下にラッパスイセンが植えられている。
スイセンは学名でナルキサスと呼ぶ。ギリシャ神話では美少年ナルキサスを愛するニンフのエコーが相手にされず瘦せ細って声だけの存在となり、それを哀れんだ女神は池に映る自分の姿に心酔しているナルキサスをスイセンにしたと言う。ナルシシズム(自己陶酔)、ナルシスト(自己陶酔家、うぬぼれ)の語源。
水仙 冬
水仙花 雪中花 野水仙