角川庭園とは

角川庭園の沿革

杉並区立角川庭園は、俳人で角川書店の創設者である角川源義氏の旧邸宅を、杉並区が遺族から寄贈を受けて改修したものです。平成21(2009)年5月10日に区立公園として開園しました。建物は昭和30(1955)年竣工の木造二階建瓦葺近代数寄屋造り(※)で、平成21(2009)年11月に国の登録有形文化財に登録されました。
昭和30年当時は、この地は緩やかな斜面のキャベツ畑で、その下は田んぼが広がり樹木の全くない見晴らしのよい場所でした。庭園は、建物入り口付近にアカマツ・芭蕉・ウメを植え、茶室の前には武蔵野の雑木林を思わせるコナラ・エゴノキ・ホオノキなどを配し、自然を生かしたものにしました。昭和35年(1960)年頃隣接する田んぼは埋め立てられ荻窪団地が建設されたため、南側にシラカシの高木を植えて目隠しとしました。
庭園は建設時の源義の考え方を受け継ぎ、俳句に相応しい野趣あふれる自然な庭園を維持しており、四季に通じて樹木の花や草花を楽しむことができます。建物は木造2階建ての近代数寄屋造り(※)で、幻戯山房~すぎなみ詩歌館~(げんぎさんぼう すぎなみ しいかかん)として一般開放されるとともに、句会・茶会などにも利用されています。

角川庭園の概要

住所:〒167-0051 杉並区荻窪3丁目14番22号
電話番号:03-6795-6855
利用時間:午前9時から午後5時
休園日:水曜日、年末年始(12月29日から1月1日)
開園年月日:平成21年5月10日
面積:1,370.67平方メートル
駐車場身体障害者専用駐車場のみあります。
アクセスJR中央線「荻窪駅」(南口)徒歩15分 関東バス (荻51)「シャレール荻窪」行きで「特養ホームおぎくぼ紫苑」下車徒歩3分

俳句心を誘う庭園で一句詠んでみては

角川庭園に着いたら、まずは石畳の小径(こみち)を歩いてみてください、そこには詩歌館から見る風景とは違う庭園の姿があります。距離にして30メートルほどの散歩道ですが、さまざまな草木が育ち、林の中を歩くような趣きがあります。途中、小さなお地蔵さんが皆さんを見守っています。

石畳の小径を抜けると開かれた空間が現れます。建物正面の中央の芝庭の上を散歩しながら、すっきりと手入れの行き届いた景色を堪能してください。
茶室前方には手水鉢(ちょうずばち)があり、竹筒から滴る水滴による水紋が美しく広がります。

その横にある水琴窟(すいきんくつ)は、地中の空洞に水音が響くように作られたもので、水を流すと深淵な音色が味わえます。また、そばには源義氏が長野県の霧ヶ峰で詠んだ句碑も置かれています。
俳句好きの方はもちろん、今まで俳句とは縁がなかった人も、角川庭園を訪れて一句たしなんでみてはどうでしょうか。句の題材を探しに季節ごとに訪れてみたくなる庭園です。 

石畳の径 自然石を組み合わせた建築
当時からの石畳です
茶室前の手水鉢と水琴窟

幻戯山房~すぎなみ詩歌館の概要

俳人で角川書店の創設者、故角川源義(げんよし)氏の邸宅は、源義氏の俳句仲間だった建築家、加倉井昭夫氏による設計で、1955(昭和30)年に竣工しました。
2005(平成17)年に角川家から杉並区に寄贈された後、改修し、2009(平成21)年より幻戯山房(すぎなみ詩歌館)として一般開放。源義氏の書斎だった部屋に、ゆかりの品や俳句などを展示し公開しているほか、句会等を催せる詩歌室や茶室を貸し出しています。
建物は近代数寄屋建築(※)というスタイルで、現代のモダン住宅の先駆けともいえるシンプルで粋な建築。どの部屋も庭を望む南側の開口部を大きくとり、四季折々の植物を楽しめます。また、建具(障子、ガラス戸、網戸、雨戸)は全て壁の中に引き込める形に設計されています。1階にある「詩歌室1」は、もともと洋風の食堂と和風の居間だったところを、改修しで1つの広い部屋にしました。この部屋の全ての建具を壁に引き込むと、庭と部屋とが一体化したような開放的な大空間が生まれます。同じ階にある四畳半の茶室は、床柱と天井に竹を使って、しゃれた庵(いおり)の雰囲気を演出しています。茶道具の貸し出しサービスもあり、利用者に人気の茶室です。詩歌室や展示室の天井も、よく見るとその部屋に合わせたデザインで木材がきれいに加工されているのが分かります。
現在、公開していない2階には、子供部屋だった洋間と、客室だった和室があります。和室はふた間続きで、欄間の上部を少し開け、中央を鉄筋で吊って軽やかに見せています(一番下の写真参照)。欄間の透かし彫りは、裏と表の絵柄を変えて彫ったもので、近代的な造りの中に昔ながらの伝統の技がいかされています。

改修前の1階図面
茶庭から見た茶室
2階客間の欄間透かし彫り 

(※)近代数寄屋(新興数寄屋)=建築家吉田五十八らによる近代主義(モダニズム)の影響をうけた和風様式、シンプルさを尊ぶ。

施設の概要

<茶室>

建物の最奥にある四畳半の茶室に水屋が付いています。
すべての柱が土壁に隠された簡素な内装で。雨戸やガラス戸は全て壁内の戸袋に収められる開放的なつくりとなっており、茶庭を眺めながら茶の湯を楽しめるよう配慮されています。

茶室には2畳の水屋が付属しています
茶道具室/茶道具は源義夫妻が愛用したものも含み無料で貸し出しております。茶碗から軸まで揃い、身一つで茶会が楽しめます

<詩歌室>

句会、歌会など詩歌に関する利用に部屋をお貸し出しています。四季の変化が楽しめる日本庭園を眺めながら俳句、短歌を楽しめます。定員20人まで利用できる詩歌室1と定員5名までの詩歌室2があります。

詩歌室1
詩歌室2
句会の様子(詩歌室1)


<展示室>

玄関を入り左側に応接間を改築した展示室があります。源義氏の足跡、作品などを常設展示しています。
季節ごとに「角川庭園の草花」、「荻窪地区の見どころ」、「歴史」などをテーマにした展示も行っております。

PAGE TOP